不適格教員からの出発

実体験をもとにした創作です。

異色経歴を持つ教員

 4月の学校には緊張感が漂う。新しいクラス、新しい先生。生徒にとっても教員にとっても、どんな1年になるかは一緒にすごす人間で決まるからだ。残念ながら、お互い希望通りにならないことも多い。「なんで今年の英語、先生じゃないの~?」「あ~また先生に教わりたかった、今度の英語、サイアク!」昨年度担当した生徒たちからこんな風に声をかけられる。教員冥利につきるというものだ。もちろん私もはじめからこうだった訳ではない。

全国に20数万いる高校教員のなかでも、私のような経歴の持ち主はそういないと思う。なにせ、37歳で大学に編入学して39歳で教員免許を取得し、教員採用試験に一発合格。しかしたった一年でクビになり、また他県で正規の教員として採用されたのだから…。そう言うと、たいていの人は「経歴を隠して採用されたのだろう」と想像するだろう。だが、そうではない。そんなことが可能なのか?それではどのような経緯でそうなったのか、順をおって説明していこうと思う。